ドキュメントパーシングAPI vs ウェブスクレイピングAPI(2025年)

要点まとめ

  • ドキュメントパーシングAPIは、PDF・画像・メールなど所有するファイルから構造化データを抽出します。
  • ウェブスクレイピングAPIは、HTMLやレンダリングされたウェブページから情報を自動収集します。
  • 選択はデータソースによります:受け取るファイルか監視したいウェブサイトか。
  • 多くのチームはハイブリッドワークフローとして、スクレイピングでドキュメントを取得しパーシングで確実なJSON化を行っています。

ドキュメントパーシングAPI vs ウェブスクレイピングAPI

ドキュメントパーシングAPIは、PDFやスキャン画像、メールなどのファイルを構造化されたJSONに変換します。ファイルのレイアウトやテキスト内容を解析し、キーバリューの組み合わせやテーブル情報を自動抽出します。これにより、請求書管理、発注トラッキング、メールからデータベースへの自動登録などの業務が効率化できます。

An infographic
Document Parsing API vs Web Scraping API

ウェブスクレイピングAPIは、ウェブサイト上のデータを直接取得し、HTMLやレンダリングされたDOMを解析します。公式APIが提供されていない場合、商品リスト監視や価格変動追跡、ニュース記事の収集、大規模データセット構築などによく使われます。

両者はデータ抽出という目的は同じですが、パーシングAPIは「所有しているファイル」、**スクレイピングAPIは「ウェブページへのアクセス」**が対象です。本記事では、両者の特徴や使い分け、意思決定フローや比較表、実際の活用例を解説します。より広範な自動化についてはデータ抽出APIガイドもご覧ください。

ドキュメントパーシングAPIとウェブスクレイピングAPIの仕組み

両者は「データ抽出」に特化した技術ですが、扱えるソースや利用の場面が大きく異なります。自社目的に適した選択をするために、それぞれの特徴を把握しましょう。

Scrapingdog の調査によると、開発者の34.8%ウェブスクレイピングAPIを利用しており、カスタムスクリプトより構造化・即利用できるデータ抽出へシフトしています。

ドキュメントパーシングAPI

ドキュメントパーシングAPIは、既に所有・受信済みのファイルから構造化データを抽出する用途に特化しています。PDF、スキャン画像、添付ファイル付きメール、オフィス文書が対象です。レイアウトやテキストの自動解析により、手入力なしで必要な情報を抽出できます。

  • インプット例:PDF、画像、スキャン、メール、オフィスファイル
  • アウトプット例:キーバリューやテーブルを含むクリーンなJSON
  • 仕組み:OCRやパーシングルールでテキストや数値、テーブル情報を検出し、CRM・ERP・各種DBなどに連携できる形式に変換
  • 想定利用シーン:請求書や領収書の自動処理、発注書明細の抽出、財務諸表処理、顧客フォーム管理、またメールをデータ化しZapier・Make・n8nで自動連携する際にも活用されます

ウェブスクレイピングAPI

ウェブスクレイピングAPIは、公開ウェブ上から直接データ抽出するためのAPIサービスです。ファイルではなくウェブページ情報を取得し、HTMLやDOMをレンダリングして解析。CSSセレクタやXPathによるデータ抽出、ヘッドレスブラウザによる対応も含まれます。

  • インプット例:ウェブサイトURL、HTML、JSONエンドポイント等
  • アウトプット例:解析されたJSONやCSV
  • 仕組み:ページ読み込み→DOM解析→商品名・価格・記事タイトル等の抽出。一部はプロキシやアンチボット対応。
  • 想定利用シーン:ECサイトでの価格監視、商品カタログ収集、ニュース記事集約、求人情報や大規模データセットの作成(公式API提供無し時など)

ドキュメントパーシングAPIは所有または受信ファイル、ウェブスクレイピングAPIは公開情報収集が主な用途です。

意思決定ツリー:どちらを使うべきか?

ドキュメントパーシングAPIとウェブスクレイピングAPI、どちらを選択するかはデータソース目的によって決まります。分岐ごとの判断基準を以下にまとめました。

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Document Parsing API vs Web Scraping API

  1. 入手ソースが自社または正規のファイル(PDF・画像・メール)ですか?
    ドキュメントパーシングAPIが最適。ファイルを綺麗なJSONへ変換し、主要項目やテーブルも自動抽出できます。
  2. 情報源が公開ウェブページやオンラインデータセットですか?
    ウェブスクレイピングAPIを選択。HTMLやレンダリング情報を取得し、所定の情報を抽出します。
  3. 文書とウェブ、両方データが必要ですか?
    → 両者のハイブリッド利用も可能。例:ウェブからPDF取得→ドキュメントパーシングAPIで解析。
  4. 請求書・発注書など、明細やテーブル情報が主対象ですか?
    ドキュメントパーシングAPIが適します。金融データ・テーブル構造などにも精度良く対応します。
  5. 価格変動や速報ニュースなど動的な情報が必要ですか?
    ウェブスクレイピングAPIが最適。定期的なチェックで最新情報が得られます。

これらのポイントを押さえて、最適なワークフロー構築が可能です。

ドキュメントパーシングAPI vs ウェブスクレイピングAPI比較表

下記比較表では、それぞれの特徴・強み・制約を一覧化しています。

基準 ドキュメントパーシングAPI ウェブスクレイピングAPI
主な入力 PDF・スキャン画像・添付メールなどのファイル ウェブページ(HTML/JSON)、レンダリングDOM
代表的な出力 キーバリューや明細テーブルを含むJSON セレクタ抽出によるJSONやCSV
環境変化耐性 安定:テンプレート設定後は精度が持続 サイト構造変更により抽出ロジックが壊れやすい
主要用途 請求書、発注書、契約書、フォーム、会計、業務メール等 商品カタログ、価格監視、求人集約、ニュース集約
取得方法 ドキュメントは自社や取引先が提供 データは他社ウェブサイトより取得
法的観点 管理者/処理者の役割明確化・プライバシー/コンプライアンス要件 利用規約・robots.txt・アンチボット対策の遵守
レイテンシ・規模 バッチ処理・非同期・Webhook通知に強い クロール速度やアンチボット制約が大きく影響
保守性 テンプレート・スキーマ再調整が中心 頻繁なセレクタ更新とアンチボット対応が必要
データ品質 構造化出力や正規化で一貫性担保 HTML整形・ページ品質に左右さればらつきやすい
セキュリティ 転送・保存時暗号化、権限管理、署名Webhookなど IPローテーションやプロキシ、ネットワーク衛生管理
LLM連携適性 AI/ML向けに構造化JSONを理想的にアウトプット 非構造テキストの要約・分類・エンリッチなどに適合
適合例 ドキュメント受領型(請求書・領収書・契約書等)に最適 ウェブ上のライブデータ(価格・在庫・ニュースヘッドライン等)に活用

ウェブスクレイピングAPIが最適な場面と留意点

ファイルではなくウェブ公開情報が主なデータソースなら、ウェブスクレイピングAPIが強力です。市場調査や競合価格追跡、情報ニュースの統合など、動きの早い業務に特に最適です。

Browsercat の調査では、グローバルなウェブスクレイピング市場は2024年に約10.1億ドル、2032年には24.9億ドル、年率11.9%で成長する見込みです。

代表的な活用例:

  • 複数ECサイトの商品価格・在庫監視
  • ニュースサイトのヘッドラインの自動集約
  • 公開APIがない求人・イベント・ディレクトリ情報の集約

情報収集の際は、責任ある運用が必須です。運用のベストプラクティス:

  • robots.txt・利用規約の事前確認
  • リクエスト数制限でサイト負荷回避
  • キャッシュ利用で無駄なリクエストを減らす
  • クローラーの識別を明確化
  • 公式APIがあれば優先利用

ウェブ構造の変化には注意。HTML変更やDOM構造の微小な修正で抽出ロジックが壊れるリスクもあり、保守体制・アラートの設計が求められます。

また実務では「スクレイピングしたファイル」をさらにドキュメントパーシングAPIで構造化するハイブリッド連携も一般的です。

ウェブスクレイピングAPIの主な課題

ウェブスクレイピングAPIはリアルタイム情報収集に強みがある一方、課題も多く存在します。

Octoparse によれば、全ウェブサイトのうち約50%のみがスクレイピングに容易、30%は中難度、残り20%は高度な対策で難易度大との結果があります。

頻繁なウェブ構造変更

ウェブサイトはスクレイピング向けに作られていないため、DOMやクラス名などの微修正でもスクリプトやAPIに影響。監視・再構築のリソース確保が必要です。

アンチボット対策の高度化

CAPTCHA、IP制限、セッション/ボット検出などの対策が増加傾向。アクセス頻度やUser-Agent偽装、プロキシなど高度な取り組みが求められます。

法的・倫理的リスク

利用規約やrobots.txtで明確に禁止されたデータの取得は、法的リスクやコンプライアンス上のリスクにつながります。社内で倫理ガイドラインを設け、判断に迷う場合は必ず法務部に相談しましょう。

データ品質・一貫性維持の難しさ

HTML構造の不統一やダイナミック生成、重複データなどで、取得後のクレンジング工数が増える傾向。機械処理向けでないサイトも多く、要バリデーション設計です。

スケーラビリティとコスト

スクレイピング規模拡大には高可用性インフラや分散処理、リトライ・エラー対応の仕組みが不可欠。プロキシやサーバーの追加コストも考慮しましょう。

長期利用の持続性不安

業務インフラとして使う場合、頻繁な保守とチューニングが必須。安定性を重視するなら、ファイル主体のドキュメント抽出APIがより推奨されます。

ドキュメントパーシングAPIが力を発揮する場面

情報がウェブではなく「PDF・スキャン・添付メール」等で届く場合は、パーシングAPIを利用した自動構造化が最適です。人手を介さず、非構造データを即時に業務利用可能なJSONへ変換できます。

Sphereco の調査では、企業データの80%が非構造データ(メールやPDF等)とされ、効率化のカギとなります。

主な活用例:

  • 請求書・領収書自動化:サプライヤー名・日付・金額・明細テーブルも抽出
  • 発注書・明細書管理:注文番号・支払条件等の自動読取・照合
  • フォーム・契約書の情報取り出し:顧客情報や署名日など定型情報も自動化
  • 業務メール自動データ化:注文確認・発送通知等をJSON化し下流システム連携

ドキュメントパーシングAPIは精度・一貫性が強み。文字抽出+正規化・検証まで自動で、追加の手作業なしに迅速なデータ化を実現します。

ファイル構造はウェブに比べて安定しており、大量文書も効率よくバッチ処理可能です。取引先文書や業務メールを主に対応する現場に最適です。

ハイブリッド型運用:実例

現場ではパーシングとスクレイピングを組み合わせて使うケースが急増中です。ドキュメントとウェブソースの両方から最大効率を引き出せます。

ハイブリッド連携の例:

  • PDF自動取得+パース:請求書PDFをスクレイピングAPIでダウンロード→パーシングAPIで明細抽出
  • 外部データで補強:抽出した請求書に、公開ウェブから取引先情報や業種データを追加
  • メール+リアルタイム情報の組合せ:注文メールをパースし、在庫や価格はスクレイピングAPIで最新化
  • データ統合分析:パース済みJSON+ウェブ収集情報を統合し、AI・BI連携へ活用

このような柔軟な組み合わせで、精度・拡張性を同時に担保できます。

ParseurはどちらのAPIか?

Parseurはドキュメント&メールパーシングAPIです。非構造ドキュメントを構造的なJSONへ変換し、業務データの自動化を促進します。ウェブスクレイピングAPIのようにウェブから直接データ収集は行わず、受け取ったファイル類を変換対象とします。そのため、HTML構造変化やスクレイピング特有の障害に煩わされず、安定した自動化ワークフローを提供できます。請求書・発注書・領収書・業務メールの自動化に最適です。

利用イメージ

  • Parseurの働き:受信したメールやPDF・画像・オフィス文書を、自動抽出した構造化JSONへ変換。WebhookとAPIで連携。
  • データ取り扱い:利用者=データ管理者が制御。DPA対応・保持/削除設定・暗号化と署名付きWebhookでセキュリティも万全。
  • おすすめ用途:主にメール経由で文書を受け取っているチームが、ノーコード/ローコードでデータ取得・自動化したい場合に最適です。

Parseur APIの強み

Parseur APIAPI+ウェブアプリのマルチインターフェースを装備。開発者はAPI統合、現場担当はウェブ画面で管理でき、導入・運用負担を大幅軽減します。

自社専用の管理/監視開発は不要、最小限の手間で現場から技術者まで共同利用が可能です。

対象が所有ファイルのため、ウェブ構造変化に左右されず、堅牢で長期安定の業務自動化が実現できます。

Parseurのデータ管理とセキュリティ

ParseurはウェブスクレイピングAPIではありませんが、メールや書類を安全かつ効率的に自動化できるよう設計されています。

Parseurが注力しているデータセキュリティ・プライバシー・コンプライアンスへの取り組み:

Parseurによるデータ管理の概要

  • ドキュメント&メール専用構造変換
    メールやPDF・画像もWebhook・API経由ですぐJSON化。会計・メール→DB連携作業もローコードで実現。

  • データ主導権は利用者が常に保有
    送信データの所有権は利用者のみ。保持期間も最短1日から選択可能。パース後即削除(Process then Delete)機能も搭載。

  • データ保存先
    Parseurの全データは、**EU(オランダ・Google Cloud Platformセンター)**に保管。詳細はこちら

  • 暗号化・セキュリティ
    常時AES-256静止時暗号化TLS v1.2以上で通信保護。Let's Encrypt SSL証明搭載でサーバー間通信も安全。

  • 監視・脆弱性対応
    24時間インフラ監視、外部会社による定期ペネトレーションテスト実施済。2025年Astraペンテスト証明書も取得済。

  • パスワード・アカウント安全
    PBKDF2+SHA-256+512bitソルト+60万回ストレッチ採用で強固な管理。

  • SLAと稼働履歴
    99.9%以上の稼働率を目指し、障害時もリトライ・冗長化。稼働履歴も公開。

  • GDPR完全準拠
    データ管理者は顧客側。Parseurは販売・共有なし、社員のプライバシー教育義務も全社徹底。ParseurとGDPR

  • インシデント時通知
    データ侵害時は48時間以内に通知公式セキュリティ概要

法的・コンプライアンスまとめ

ドキュメント抽出APIもウェブスクレイピングAPIも、導入時には法規制・コンプライアンス対応が不可欠です。

ドキュメントの扱いには適法な合意や契約、DPA締結、保存ルールなどが必須。個人情報や管理者・処理者区分も重要です。DPAガイド

ウェブスクレイピングはさらに複雑で、利用規約違反やrobots.txt侵害は重大なリスク。迷ったら常に法務部門との協議が推奨されます。
EU等からの個人データ移転も、現地規則に沿った適正なプロセスが求められます。

まとめ:最適なデータ抽出APIを選ぶには?

ドキュメントパーシングAPIとウェブスクレイピングAPIは、いずれも自動データ収集を大きく加速しますが、目的・用途・運用リスクが異なります。
ファイル(PDF、明細、メール等)ならドキュメント抽出APIを、ウェブサイト掲載データならウェブスクレイピングAPIを選びましょう。

Experlogixによれば、ドキュメント自動化で処理時間を最大80%短縮できるとされ、業務効率化効果も実証されています。

多くの現場で「ファイル取得にスクレイピングAPI、その後の構造化にパーシングAPI」というハイブリッド利用がベストプラクティスです。

重要なのはデータソースと用途に沿った選択。PDFやスキャン・メールならパーシングAPIで効率化と精度を、ウェブ上ならスクレイピングAPIを。両者あわせて、自社に最適な全自動化ワークフロー構築を目指してください。

よくある質問

多くの読者の方が、ドキュメントパーシングとウェブスクレイピングの違いについて共通の疑問を持っています。下記に、それぞれの違いや実際のユースケースに役立つFAQを掲載します。

ドキュメントパーシングとウェブスクレイピングは同じものですか?

いいえ。ドキュメントパーシングは、すでに所有している、または受信したPDFやスキャン画像、メールのようなファイルを扱います。一方、ウェブスクレイピングはHTMLやレンダリングコンテンツを解析してウェブサイトからデータを抽出します。

ParseurはウェブスクレイピングAPIツールですか?

いいえ。ParseurはドキュメントとメールパーシングAPIであり、ウェブスクレイピングツールではありません。ウェブページのクロールや取得は行いません。代わりに、所有するメール、PDF、画像、オフィスファイルなどのドキュメントをクリーンで構造化されたJSONへと変換します。これにより、請求書処理、領収書、発注書ワークフローの自動化が、複雑な社内ツール開発なしで実現できます。

ウェブスクレイピングは合法ですか?

ケースバイケースです。公開データのスクレイピングは一部許可される場合もありますが、多くのウェブサイトは利用規約やrobots.txtで制限を定めています。これらのドキュメントを必ず確認し、事前に法的な助言を求めてください。

スクレイピングを避けるべき場合は?

データが有料ウォールの裏にある場合、厳格なアクセスコントロール下にある場合、またはサイトの規約で明確に禁止されている場合はスクレイピングを避けてください。制限を回避しようとする行為は、コンプライアンスや法的リスクにつながります。

最終更新日

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