主なポイント
- 自動抽出: PDF、メール、スキャンファイルを構造化JSONやCSVへ変換
- Parseurの優位性: APIとウェブアプリを併用、統合と運用管理をシームレス化
- コンプライアンス対応: GDPR、国際転送、セキュリティ対応機能を標準搭載
- 業務効率化: チームがノーコードで解析ワークフローを監視・改善
ドキュメント抽出APIは、企業がPDFやスキャンファイル、メールをJSONやCSVのような構造化データへ変換し、自動化・分析・法令遵守を実現する要となります。企業データの大半は非構造化であり、インテリジェント文書処理(IDP)の市場データによると、新規ビジネスデータの80〜90%が非構造化(文書、画像等)で、実際活用されている組織は全体の約18%にとどまっています。
ウェブスクレイピングAPIと異なり、知的財産リスクやアンチスクレイピング法的問題が抑制されやすく、ドキュメント解析APIは厳密なプライバシー・データ保護・契約枠組みのもと運用されます。
本ガイドでは、2025年以降に押さえておくべきドキュメント抽出APIの法的留意点を解説します。GDPR遵守、データ処理契約(DPA)、国際データ転送(EU・米国・ブラジル・インド)、センシティブデータのセキュリティ要件などをカバーします。
ドキュメント解析とウェブ解析—法的観点の違い
ドキュメントをAPIで解析する場合とウェブスクレイピングでは、法的環境が大きく異なります。PDF、メール、スキャンファイル解析は、公的情報収集ではなく、「法的に保有/受領したファイル」の処理です。したがって「アクセス権限」ではなく、プライバシー・コンプライアンス・契約責任が中心的論点となります。
役割の明確化:コントローラーとプロセッサー
GDPR(第28条)および各国プライバシー法は、データコントローラーかデータプロセッサーかを明確化する必要があります。
- コントローラーはなぜ・どのように個人データを処理するか決定、法的責任を負います。合法的根拠、本人権利行使対応、保存期間設定などが主な義務です。中小企業は小規模データが中心ですが、大企業は膨大でより複雑なデータを扱うため、責任範囲も拡大します。
この違いは英国ICO業界調査にも反映され、2025年最新調査では、データコントローラーのうち年間1,000人未満の個人データを処理する組織が83%、10,000人超は54%(大規模組織)となっています。
- プロセッサーはコントローラーの明示指示に基づき処理し、技術的・組織的な管理策の実装・処理記録の保持・コンプライアンス支援等を担います。
多くの場合、利用企業がコントローラー、APIプロバイダー(Parseurなど)はプロセッサーという関係性です。この区分のもと、DPA義務やセキュリティ対策、侵害発生時の通知など一連の責任範囲が分かれます。
EU GDPRの中核プライバシー原則
ドキュメント解析APIの利用では、単なる「データスクレイピング」と区別され、「すでに保有している情報の処理」への法的責任がプライバシー・コンプライアンスに集中します。GDPRはその中核基準であり、自動化と共に「適法な運用」「取得データの性質(個人情報・センシティブ含む)」を前提とし、厳格な処理義務が課せられます。
自動化とプライバシー要件を両立しつつ、構造化データ化を推進するには、データ最小化や目的限定などGDPR原則順守が不可欠です。
1. GDPR原則をAPI仕様の基盤に(第5条)
PDF・メール・フォームの取込みワークフロー設計時は、GDPRの基本原則を組み込みます。
- 合法性・公平性・透明性: 適法な根拠(契約・同意)の明確化と説明責任
- 目的制限: 明示した目的外への利用禁止
- データ最小化: 必要最小限の項目のみ抽出
- 正確性: 抽出内容の検証と誤作動防止
- 保存制限: TTLや自動削除による長期保存回避
- 完全性・機密性: 暗号化・アクセス制御・異常監視の徹底
実務ポイント:フィールド単位抽出やTTL設定など、API仕様で実装すること。
2. 設計段階からのデータ保護(第25条)
GDPRは「プライバシー・バイ・デザイン/デフォルト」を要求。API設計段階での配慮事項:
- 技術策: 保存・通信の暗号化、抽出データの仮名化、強認証
- 組織策: 権限管理、従業員教育、定期的セキュリティ監査
これらを製品仕様に紐付けることで信頼性が高まります。
3. 処理活動記録(第30条)
コントローラー、プロセッサーは**処理活動記録(RoPA)**を保持必須。API利用にあたり、
- 処理するデータ(請求書、契約書など)
- 処理目的・法的根拠
- データフロー・保存期間・保護策
RoPA用テンプレートの提供は顧客のコンプライアンス維持にも有効です。
4. データ侵害時の通知義務(第33条)
GDPRは発覚から72時間以内の当局通知を義務づけます。要素:
- 役割・責任・連絡先明記のインシデント対応手順
- 訓練&監査証跡の整備
注意:GDPRへの適合は単なる「チェックリスト」ではなく、設計全工程に「プライバシー・セキュリティ・説明責任」をビルトインすることが肝要です。
ParseurのGDPR準拠機能
Parseurはすべてのパースワークフローへデータ保護を組込み、インフラ・アクセス管理から全て厳格なセキュリティ・コンプライアンスを徹底。詳細はプライバシー & GDPR、セキュリティ & プライバシー、およびLegal関連ページを参照ください。
- 通信/保管暗号化
- 権限・ログ管理
- データ最小化・保存期間制御
- 第三者評価: Astra Security 2025年ペンテスト「A+」取得
これら機能により、API利用時のセキュリティ・信頼性・監査性が保証されます。
契約による法的関係の明確化
信頼性の高いドキュメント抽出APIには、契約による役割定義・リスク分担・説明責任が必要です。
1. データ処理契約(DPA)– GDPR第28条
EUコントローラーのプロセッサーとなる場合、DPAは必須。
- 処理範囲・目的の明示
- 指揮命令系統の定義
- 安全管理・通知義務の規定
- 監査/検査権の付与
- サブプロセッサー義務の流用
条文例抜粋(要約)
- 「プロセッサーは適切な管理策を維持し、通信や保存時の暗号化を実施する」
- 「個人データ侵害が判明した際は、できるだけ速やかに通知する」
- 「データ主体からの要求(アクセス・削除等)はコントローラーに協力」
2. サブプロセッサーの透明性
- 一覧公開(社名・所在地・役務)
- 変更通知(メール等)、異議への対応
これは信頼性だけでなくGDPR義務遵守にも直結します。
3. セキュリティ付属文書
当局は書面での管理策宣言にも注目。DPA付属文書として主な内容:
- 最低限のセキュリティ策(TLS1.2+、AES-256、認証強化など)
- 侵害時SLA(72時間以内通知)
- 年次ペンテストおよび対策義務
4. 所有権・知的財産
- インプット(元文書): 顧客所有
- アウトプット(抽出JSON等): 基本的に顧客所有(明記推奨)
- ベンダーIP: モデルやシステム自体はAPI事業者
留意点
- 米国法では抽出データ自体は著作権保護対象外、元ファイルが著作物となる場合あり
- EUはデータベース権(96/9/EC)該当時バルク抽出には強いライセンス義務あり
越境データ転送(EU → 非EU)
EU個人データのEEA域外転送にはGDPR第5章の「同等保護策」が必須です(第44〜49条)。
1. 原則:十分な保護策なき転送禁止
EEA外へのアクセス・保存・送信は「転送」と見なされ、合法的メカニズム以外での実施は禁止です。
2. 合法的転送メカニズム
十分性認定(第45条)
欧州委員会が認定した国なら追加措置不要
例:EU-US Data Privacy Framework(DPF 2023年~)、DPF準拠企業標準契約条項=SCCs(第46条)
2021年新定型を採用し、
Transfer Impact Assessment(TIA)による現地リスク評価と、暗号化など追加管理策が求められます拘束的企業ルール=BCRs(第47条)
多国籍グループ間用(EU当局承認必須)
例外規定(第49条)
同意等ごく限定範囲で認可
3. 転送影響評価(TIA)– EDPBガイダンス
SCCsではTIAの作成・記録が必須:
- データフロー&移転先分析
- 監視等のローカルリスク評価
- 必要に応じた技術追加策
- 証跡管理と更新
4. Parseurの対応例
- EU内データ保持: EU内DCホスティング推進
- SCCs・DPF: 必要時2021年SCC+TIA+DPF加盟事業者利用
- 全暗号化: TLS1.2+/AES-256
- 透明性: データフロー図・サブプロセッサー公開
転送意思決定ツリー(GDPR)

- EEA外への移転有無?
- No: 通常GDPR対応
- Yes: 次へ
- 十分性認定国か?
- Yes: 追加要件なし
- No: SCCs等転送リスク評価必須
- TIA(転送評価)完了?
- Yes: 記録に基づき転送
- No: 実施後転送
SCCs + TIA 実務チェックリスト
- SCCs締結(最新版雛形)
- TIA:現地法リスク評価+技術策明記
- 技術保護策:暗号化&厳格アクセス管理
- 証跡:SCC・TIA・監査ログ保管
- 定期見直し:年次または現地法変更随時
上記対応により、Parseur等、法規制をまたぐドキュメント抽出APIも安全運用可能です。
主要国・地域のその他規制動向
GDPRが国際標準になりつつある一方で、各地独自の法規制も急拡大中。エリアごとの主なポイント:
スイス FADP(revFADP 2023年9月施行)
越境転送は条件付き容認。十分性やDPA記載、現地ガイダンス順守等が必要。高リスク侵害時は当局(FDPIC)へ通知。 スイス外業者は同国データ処理なら現地代理人指名が必須。
- コントローラー指示下のプロセッサー運用、DPA・サブプロセッサー通知体制必須
- スイス用SCCや現地クラウド活用を検討
- インシデント管理はFDPIC基準対応を
カリフォルニア CCPA(CPRA含む)
CCPA/CPRAは消費者の権利保障とサービス提供者義務化(保存・開示・販売禁止等)を規定。
- サービサー契約にCCPA§7051対応条項
- 権利請求補助、暗号化・堅牢アクセス・保持管理など実装
シンガポール PDPA
8原則(説明責任、同意、目的限定、正確性、保護、保存・移転制限など)遵守
侵害時はPDPC/データ主体へ通知義務
保持・削除制御、海外転送で保護策明記
インシデント手順はPDPC指針に準拠
ブラジル LGPD(Lei Geral de Proteção de Dados)
GDPR主要原則を継承。2021年8月施行済。
- 管轄・原則:ブラジル関連サービスすべてが対象
- 多様な合法根拠、ANPD監督
- 越境転送は十分性認定、契約条項含み許可
- ParseurはLGPD対応:暗号化・アクセス制御・透明性
インド DPDP法(2023年)
2023年制定、2025年順次施行見込。
- 合法処理には同意か法定根拠が必須
- GDPR類似のフィデューシャリー義務
- インド国外転送は今後厳格化予定
- Parseurではデータ最小化、監査ログなどDPDP対応機能実装
セキュリティ・保持・削除管理と証跡化
各法規はセキュリティ・保存・削除・運用証拠の管理を求めます。
API設計時はPrivacy by Design実装と説明責任体制整備が基本です。
原則別 実装例
- データ最小化:必要項目のみに抽出(Parseurはフィールド単位抽出と未使用データ除去)
- 保存期限制御:TTL機能で満了時自動削除
- 機密性・完全性:通信・保存時強力暗号化(TLS1.2+, AES-256)、RBAC、監査ログ
保持・削除管理現場例
- 文書種類別の保存基準(例:請求書7年、履歴書6ヶ月など)
- 自動削除対応で不要データ蓄積を予防
- 改ざん困難な監査ログ管理(全操作・Webhook配送・ドキュメント処理が不変記録)
インシデント監督・侵害管理
- GDPRは侵害時72時間以内通知義務
- 米州各州法も速やかな個別通知要
- RACI型の役割責任明確化で組織的対応
- Parseurは継続ペンテスト&A+認証で堅牢化
ドキュメント抽出時のDPIA・リスク評価
**DPIA(データ保護影響評価)**は、GDPRや他地域規制で高リスク処理前の評価を義務付けます(GDPR第35条)。
- センシティブデータ大量処理(健康・金融等)
- 系統的監視・プロファイリング
- 新技術利用(AIなど)
API経由での大量PDF/メール処理・機械学習抽出には、隠れPII検出・誤抽出・転送管理などDPIA対象となる例が多くあります。
主なリスク評価点
- 過剰収集:必要以上抽出
- 隠れPII/PHI:非表示情報の露出
- 越境転送:十分性未認定地への保存
- モデル誤分類:情報誤タグ・露出
- アクセス管理不備:弱認証等
Parseurのリスク対策
- 抽出フィールド限定機能
- 監査ログ・操作証跡全件保存
- EU/US拠点・SCCs/DPF転送管理
- 転送経路を含めPenTest等外部認証取得
アウトプット所有権—著作権・データベース権の基礎
米国:事実vs表現
米国法は「事実データ自体は著作権なし」(抽出例:金額・日付)。
元文書自体は著作物となる場合が大半ですが、抽出データは契約で出所・権限を明示します。
EU:データベース権対応
データベース指令96/9/ECでは、データベースへの大規模投資=独自権発生。
- バルク抽出・再利用時はライセンスor契約明記必須
実務対策
- 契約で入出力データの所有・利用権明示
- 正規データ由来であることの履歴保管
- 特にEU圏は専門家確認&保証条項付帯を推奨
即活用できる 法的コンプライアンス・チェックリスト

APIによるドキュメント抽出が複数国法、業界ガイドラインに適合するか確認するには:
1. ガバナンス・役割整理
- コントローラー/プロセッサー確認(GDPR第28条)
- 必要に応じDPAやBAA契約締結
2. 根拠・設計プライバシー
- 合法根拠明確化(同意・契約・正当利益等)、目的限定・データ最小化(GDPR第5-6条)
- 設計段階対策:暗号化・権限管理・最小抽出(GDPR第25条)
3. データフロー/越境管理
- データフロー図作成と国際転送メカニズム確認
- 正式手段(DPF, SCCs, BCRs等)の活用
- TIA(転送評価)の義務対応
4. セキュリティ/削除/証跡管理
- 通信・保存時暗号化、権限管理、全処理ログ
- 書類種別別保持期間・自動削除
- 改ざん不能な証跡・説明責任体制
5. 書類・ドキュメント整備
- 処理活動記録(GDPR第30条)
- DPIA(ハイリスクのみ)
- インシデント応答手順(GDPR72h、米州ルール両対応)
6. データ主体対応
- アクセス/削除請求への体制
- 法定期日内対応(30~45日)
7. 業界別要件
- PHI/医療:HIPAA/BAA対応
- 決済:PCI DSS順守
- 生体:イリノイBIPA等ローカル規制準拠
Parseurの法対応・セキュリティ標準
Parseurはすべてのドキュメントパースワークフローにセキュリティ、プライバシー管理を実装。安全な保存、アクセス制御、透明性の高い管理システムでデータを確実に保護します。
詳細はParseurのセキュリティ&プライバシー、公式サイトLegalセクション参照。
- データ保存場所
EU(オランダDC)、GDPR要件に準拠 - インフラ保護
OWASP Top10/SANS25に沿った脆弱性管理、エンタープライズは監査&ペンテスト報告 - 暗号化
通信:TLS1.2+、保管:AES-256、Let's Encrypt証明 - アカウント保護
PBKDF2+SHA-256で強力パスワード管理 - 稼働率
SLA99.9%、24時間自動再送対応 - アクセス制御
顧客主導権限、Parseur人員アクセスは限定&教育済 - 認証・ホスティング
GCP基盤・ISO27001認証継承、ParseurのDPA - 保持・削除
メールボックス単位で1日から設定可能、即時削除も選択可 - 侵害通知
インシデント発見から48時間以内顧客連絡 - セキュリティアンケート・脆弱性報告
エンタープライズにはQ&A個別対応/研究者用窓口も完備
なぜParseurが選ばれるのか
ドキュメント抽出APIは業務の自動化・精度・規模を変革します。Parseurは強力APIと直感的ウェブアプリを融合し、開発者のシステム組込も、現場のノーコード運用も両立。
API一つでセキュリティ・信頼性・運用性を実現したい場合はParseurが最適な選択肢です。
自社要件の多様なニーズ、将来対応力にも柔軟に応えます。
よくあるご質問
Parseurのようなドキュメント抽出APIを検討中の場合、法的、所有権、機能面でのご質問があるでしょう。このFAQでは、適法性の確認事項や実用的な活用例、Parseurが開発者や業務チーム向けにどのようにパース処理を簡素化しているかなど、よくある疑問にお答えします。
-
顧客提出PDFからデータを抽出するのは合法ですか?
-
適切な合法的根拠、同意または契約、そしてプライバシー管理がある場合、通常は合法です。
-
すべてのドキュメントに同意が必要ですか?
-
法的根拠と所在地の法域によります。センシティブなデータはより厳しい規則が適用されます。
-
抽出したデータの所有権は私たちに属しますか?
-
所有権は契約で定義する必要があります。米国法(Feist判例)では事実データは著作権対象外ですが、EUデータベース権が該当する場合もあります。
-
ドキュメント抽出APIとは何ですか?
-
PDFやメール、スキャンデータなど非構造化ドキュメントをJSONやCSVのような構造化データに変換するツールです。
-
Parseurは他の抽出ツールとどう違うのですか?
-
Parseurは開発者向けAPIとウェブアプリを提供し、業務チームがノーコードで監視・最適化・編集できます。
-
ドキュメントからテーブルやキーバリューを抽出できますか?
-
Parseurは請求書やフォーム、メールなどから構造化フィールドやテーブル、ラベル付データを正確に抽出します。
-
Parseurのワークフロー運用には開発者が必要ですか?
-
業務チームがノーコードでスキーマ定義やドキュメントレビュー、抽出内容編集が可能です。
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