重要なポイント
- 手動によるデータパースは時間がかかり、ミスも発生しやすい。一方、従来のOCRでは精度に課題がある。
- ParseurのようなAI駆動ツールは、高度なOCR、機械学習、自動化によって従来の限界を克服できる。
この記事では、データパースとは何か、その重要性、仕組み、主なユースケース、ツール選定時のポイントについて解説します。また、業務フロー効率化のための自動データ抽出&パースプラットフォーム「Parseur」もご紹介します。
データパースとは?
データパースの定義は様々で、広範な概念ですが、ここでは分かりやすく説明します。
データパースとは、データをあるフォーマットから別のフォーマット、通常は非構造化データ(生HTML)から構造化データ(JSON、CSV)へ変換することです。データをより読みやすいフォーマットに変換します。
データパーサーは、データをパースし、必要なフォーマットに変換するのに役立ちます。ただし、すべてのデータパーサーが同じように動作するわけではなく、従うべき特定のパースルールがあるものもあります。
パースの定義
プログラミング言語では、データパースは特定のルールに従ってデータを分析し、構造化することを指します。
Wikipediaでは、パースを「自然言語やデータ構造などの記号列を解析するプロセス」と定義しています。
パースは、この情報を意味のある構成要素(名前、日付、住所、金額など)に分解し、通常はCSV、JSON、XMLなどの構造化されたフォーマットにします。
データパースとデータ抽出は違うのか?
データパースとデータ抽出は互いに異なるものです。データ抽出はドキュメントからデータを取得することを指し、データパースはデータを実用的なフォーマットに変換することです。
ETL(Extract Transform Load)のプロセスで例えると、「データ抽出」が最初のステップ、「データパース(変換)」が次の工程です。
データパースの主な種類
データパースは、以下の2つの異なるタイプまたはアプローチに分類できます。
- 文法駆動型
- データ駆動型
文法駆動型データパースでは、入力テキストの一部構造を識別するための一連のルールを定義します。これらのルールは、ファイルまたはコードの一部として定義できます。
文法駆動型パースの良い例が正規表現(regex)です。
対照的に、データ駆動型パースは、自然言語処理(NLP)などのルールベースのメソッドや言語を使用します。正規表現(regex)は、繰り返しパターンに基づいてデータを識別・抽出し、ログやメールなどの半構造化データに適しています。
データパースが重要な理由
大量のデータを扱う場合、データが信頼でき、正確で、エラーがないことを確認することが重要になります。そして、データパースは以下に示すように手動データ入力に比べて多くの利点があります。
スピード
データパースは手動入力よりもはるかに高速です。機械は大量の生データを迅速に処理でき、人間よりもはるかに速いです。1つのデータパーサーで一度に数千のファイルをパースし、その内容を数秒または数分で処理できます。手動入力は、各レコードを従業員が個々に入力する必要があるため、はるかに時間がかかり、途中で間違いを犯す可能性もあります。
2013年、米企業は主に事業所得や雇用額の誤申告による約70億ドルのIRS民事罰金を受けました。
正確性
企業がParseurのようなデータパースソリューションを使用せず、データベースのニーズを人間の従業員だけに頼っている場合、エラーが発生する可能性があります。データパースは、フィールドに数値を入力したり、データベースで名前を検索したりする際に信頼性の高いソフトウェアを使用して行われるため、正確性を保証します。
データの近代化
長年データを収集してきた組織は、全く異なるフォーマットでデータを持っている可能性があります。データパースを使えば、それらのデータを簡単にデジタル化し、有効活用できます。
データパースの主なユースケース
間違いなく、データパースはさまざまな業界のさまざまな組織で広く使用されています。以下に最も一般的なユースケースをまとめました。
不動産業
不動産仲介業者は、Zillow、Trulia、Realtorなどのサービスから毎日大量のリード情報を受け取ります。データパースを使えば、見込客情報や物件情報を自動で抽出し、RealvolveやWise agentなどの不動産CRMツールで管理できます。
金融サービス
銀行や保険会社などの金融機関は、日々膨大な取引データや帳票を処理・パースしています。自動パースにより大量情報の分析・レポート作成も短時間で実施しやすくなります。
医療業界
医療機関には膨大な患者記録が集約されますが、その内容をタイムリーに活用・分析するにはパース技術が必須です。医師やスタッフが必要な情報をすばやく抽出し現場で活かせるようになります。
フードオーダー & 配達
飲食業界でも、正確な注文内容や顧客情報をリアルタイムで抽出・管理するニーズが高まっています。データパースを用いれば、受注データをGoogleスプレッドシート等で可視化・共有でき、大量オーダーにも正確に対応できます。
ParseurによるBarberitosの売上30%増加事例のように、飲食オーダー自動化でも成果が出ています。詳細はこちら。
データパースにおける手作業の課題
手動によるデータパースは多くの組織で依然として行われていますが、それには大きな課題が伴います。
- 時間のかかる作業:従業員は手動でのデータ収集と準備に最大40%の時間を費やすことがあります。
- ミスが発生しやすい:手動のデータ入力は、米国だけで年間推定$3兆ドルのコストをビジネスに与える可能性があります。
- スケーラビリティの欠如:データ量が増加するにつれて、手動プロセスは持続不可能になります。
なぜ従来型OCRだけでは十分でないのか?
従来型OCRは書類の文字認識には便利ですが、下記のような課題も残ります。
- 複雑なレイアウト:一貫性のないドキュメント構造は、基本的なOCRシステムを混乱させる可能性があります。
- エラーが発生しやすい出力:OCRはしばしば広範な手動検証を必要とします。
- 文脈理解の制限:抽出されたデータの背後にある意味を解釈できません。
データパースにおけるAI
人工知能(AI)は、従来の方法の限界を克服することで、データパースを変革します。
- 高度なOCRアルゴリズム:AI搭載ツールはスキャン文書や画像データも高精度でテキスト化できます。
- 自己学習型モデル:機械学習を応用し、新しい書式やパターンにも素早く対応・精度向上が可能です。
- 自動化との統合:AI搭載パースツールはCRMやERPといった各種外部システムとも連携し、自動データフロー構築を支援します。
データパーサーを自作すべきか?それとも購入すべきか?
ここで生じる最も重要な問題は、データパーサーを自作すべきか、それともデータパースツールを購入すべきかということです。データパーサーの自作には、長所と短所の両方があります。
データパーサーを自作する利点
- パースプロセスをより細かく制御できる
- 要件に合わせてツールをカスタマイズできる
データパーサーを自作するデメリット
- 要件を理解し、仕様書を作成するためのスタッフ研修
- ツールの開発に投資するためのリソースと資金が必要
- ツールを調整するための不可避なメンテナンスが必要で、長期的にはかなりの時間と費用がかかる
データパースツール選定のポイント
データパースソリューションを選ぶ際には、以下の点を重視しましょう。
- 非技術者でもテンプレートやルールを迅速に設定できる直感的なインターフェースを提供すべきです。
- データ量が増加しても速度や精度を損なうことなく、より大きなワークロードを処理できるべきです。
- ソリューションは複数のドキュメントタイプ(メール、PDF、画像、スプレッドシート)をパースできるべきです。
- CRM、ERP、データベースシステム、分析プラットフォームとシームレスに統合し、技術スタック全体でスムーズなデータフローを確保すべきです。
もう1つの選択肢:Parseurのようなデータパースツールを使う
ParseurはメールやPDFのデータパーサーとして、メールやPDF、スプレッドシート等の書類からデータを自動抽出するためのクラウドツールです。Parseurには先進的なOCRエンジンが搭載されており、ゾーンOCRやダイナミックOCRなど、最新機能で高速・高精度かつコーディング不要のデータキャプチャを実現します。
組み込み機能により、Parseurは以下のことが可能です。
- テキストベースおよび画像ベースのドキュメントからデータを抽出
- 表から繰り返しブロックを抽出
- 食品注文、不動産、またはGoogleアラートなどの特定のユースケースからのデータパースを自動化
- Googleスプレッドシート、Zapier、Make、またはPower automateなどの他のアプリケーションにデータを送信
まとめ
かつてないほど膨大な情報が電子文書に蓄積されている今、データパースは業務効率化と意思決定を支える必須技術となっています。AIを核としたParseurのような専門ツールの活用で、データパースはこれまでよりもシンプル・高精度・スピーディに実現でき、業務現場の生産性を一気に引き上げます。
Parseurはパースプロセスを自動化することで、手作業や当て推量をなくし、ビジネスのワークフローを合理化し、運用効率を向上させます。自動化されたデータパースの力を活用するのに、これほど良い時期はありません。
本記事でデータパースの全体像や、パーサーの仕組みについてご理解いただけたと思います。パーサーを自作するか購入するかを決定する際には、大量のデータをパースする必要があるかどうかを念頭に置いてください。
よくある質問
データパースに関するよくある質問をまとめました。
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データパースの具体的な事例は?
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例えば、大量のテキスト文書(履歴書など)から特定情報を抽出したい場合、キーワード検出や正規表現などの技術を使ってデータを効率よくパースすることができます。
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データパーサーの利用方法は?
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パーサーツールによって異なりますが、Parseurなどは直感的なインターフェースでテンプレート設定でき、コーディングも必要ありません。
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データパースに使えるツールの例は?
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Parseur、Scraper API、Import.io などが代表的なデータパース対応ツールです。
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Pythonによるデータパースとは?
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より高度なデータパースが必要な場合は、Pythonで自作のデータパース処理を書くことも可能です。
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