OCRとドキュメント処理 - 違いを理解する

Portrait of Neha Gunnoo
執筆者 Neha Gunnoo Growth and Marketing Lead at Parseur
9 分で読了
最終更新日

ポイントまとめ:

  • OCRは画像やスキャン文書からテキストを抽出します。ドキュメント処理は抽出データの「理解・整理・システム連携」までを自動化します。
  • OCRは基本的な文書のデジタル化には最適であり、ドキュメント処理は自動化を目的に構築されています。
  • インテリジェント・ドキュメント処理(IDP)はAIを活用し自動化を進化させます。
  • 単純作業にはOCRのみ、業務効率化やワークフロー自動化にはドキュメント処理が有効です。

スキャンした文書が即座に検索可能なテキストへ変換される…そんな場面に触れたことがありませんか?それがOCR(光学文字認識)です。しかし、OCRはドキュメント自動化全体のごく一部に過ぎません。実は、もっと大きな仕組みのひとつです。

多くの企業はまずOCRを導入し「十分だ」と考えますが、実際には「文書仕分け」「主要データ抽出」「他システム連携」などで限界に気づかされます。

そんなときにドキュメント処理が必要です。

OCRとドキュメント処理の違いは一見するとわずかなようで、その差は非常に大きいものです。例えるなら「OCRはページ上の文字を読むだけ、ドキュメント処理はその意味を理解してラベル付けし、自動で活用できるようにする」ものです。

この記事では、

  • OCRができること・できないこと
  • ドキュメント処理が単なるテキスト抽出以上にできること
  • 両者の主な違い
  • 単体OCRだけで十分な場合/そうでない場合
  • ParseurのようなOCR+インテリジェント・ドキュメント処理による完全自動化

を解説します。

OCR(光学文字認識)とは?

OCRという言葉は聞いたことがあっても、実際何をしているのかわからない方も多いでしょう。まずはOCRとは何か、その役割について説明します。

OCRをわかりやすく

OCR(光学文字認識)は、画像やPDF、スキャンした紙文書から生のテキストを抽出する技術です。視覚的な情報を機械が読める文字データへ変換します。レシートや印刷した請求書を写真に撮った場合でも、そのテキストを検出・抽出でき、パソコンなどで扱えるようになります。

Security Forceによれば、高性能なOCRソフトは画像の品質やフォント、文書言語によっては95% 以上の認識精度となります。

ですが、「従来型のOCRは読んだ内容の意味までは理解しません」。どれが日付や金額、重要項目かもわからず、ただテキストとして出力するのみで、時に非構造のままになります。

具体例

例えば請求書をスキャンした場合、OCRはこうなります。

Extract data with OCR

それだけです。デジタルのテキストにはなりましたが、文脈項目ラベル構造は一切付与されていません。

OCRが適している場面

OCRツールは、単なるデジタル化が目的であれば最適です。本格的な処理や意味の理解、業務自動化には向いていません。

OCRだけで十分な活用例

  • 古文書や印刷物のアーカイブ

    新聞・書籍・記録資料のデジタル検索および保存

  • 手書きメモのテキスト化

    手書きノート等をテキスト変換して編集や読みやすさ向上に活用

  • スキャン文書の全文検索

    画像PDFを検索可能にする(細かい項目抽出はなし)

  • 印刷物のテキスト化保存

    紙ベースの情報をとりあえずテキスト化したい場合

従来型OCRの課題

最終目的が自動化フィールド付与システム連携の場合、OCRだけでは不十分です。たとえば、「Invoice No: 83901」を読めても、“83901”が請求書番号かどうかも判断せず、他のシステムへ渡すこともできません。

つまり、「本の写真→編集可能な文字」まではできますが、要約や分類整理は結局人手が必要です。

Basecap Analyticsによれば、OCRのみだと認識精度は97%程度にとどまり、抽出データの約3%が誤りとなります。

この小さな誤差でも、

  • 誤入力
  • コンプライアンスリスク
  • 手作業による修正(業務効率悪化)

など、重大な問題になります。
「手入力を減らしたい」「業務フローを改善したい」場合、OCRだけでは出力が不安定で人的修正・手間が発生します。

ドキュメント処理とは?

ドキュメント処理はOCRだけではなく、文書のライフサイクル全体を担う総合的な自動化システムです。
データ取得、文脈理解、項目抽出、検証、他システム連携まで自動的にこなします。

主な機能は、

  • 多様なソースから文書を受信:メール、PDF、スキャン画像、デジタルフォーム など
  • 文書タイプの自動分類(例:請求書・契約書・出荷伝票…)
  • 重要なデータ項目の抽出(請求書番号・支払期日・金額・顧客名 など)
  • データの検証・構造化(正確性/一貫性を自動チェック)
  • 抽出データのシステム連携(CRMやExcel、ERP、データベースなどへ出力)

イメージとしては、

  • OCR=「画像から文字を読む」
  • ドキュメント処理=「読んだ文字の意味を理解し、重要な情報を自動で分類整理、正しい場所に送る」

Grand View Researchによると、世界のインテリジェント・ドキュメント処理市場は2024年に23億ドル、2030年には123億5,000万ドル規模まで拡大し、2025年から2030年のCAGRは33.1%と予測されています。

これは企業現場で「一歩進んだ自動化」が急速に浸透している証拠です。

OCRとドキュメント処理の主な違い

以下は、現場での「データ扱い・文脈把握・構造化・連携」における違いです。

特徴 従来型OCR ドキュメント処理
生のテキスト抽出 〇(文脈も付与)
文脈や項目のラベル付け × 〇(意味づけして項目を自動分類)
構造化データへの対応 × 〇(JSONやCSV等で出力)
データの検証 × 〇(書式チェックやルール適用)
多様な入力フォーマット 一部対応 〇(メール、スキャン、デジタルファイル、画像など)
  • 生テキスト抽出: 両者共通だが、ドキュメント処理は意味づけ付与
  • 文脈理解: OCRはイメージ→文字変換のみ、ドキュメント処理は「請求日」「金額」など自動ラベル付け
  • 構造化: OCRは生の出力、ドキュメント処理は整理済み(JSON/CSV)
  • 検証: ドキュメント処理は正確性やルールチェックを自動化
  • 連携: ドキュメント処理は他ソフト・ワークフローとも自動連携。OCR単体では限定的
  • 対応範囲: ドキュメント処理はOCRよりも幅広い入力・形式に対応

例:請求書をスキャンした場合、OCRは全テキストを未整理で抽出。ドキュメント処理なら「請求書番号」「支払期日」「金額」など項目ごとに抽出し、そのまま会計システムに自動転送、などが可能です。

本格的なドキュメント処理が必要な場面とは?

OCRは紙や画像→文字への変換に便利ですが、「内容の意味は理解できず、レイアウトの違いにも弱く、業務ツール連携ができません」。
ドキュメント処理は、そこからさらに「自動的にデータを構造化→活用できる情報へ」に変換します。

OCRだけでは困る実例:

  • 請求書の自動処理 – 請求書番号・金額・期日など抽出し会計システムと自動連携

Mineral Treeによれば、請求書の処理においてOCRだけだと10文字中1文字が誤抽出となるため、主要な項目(請求書番号、金額、期日など)の抽出ミスが月数百枚の現場で多発、それらの修正に手間もかかります。

  • カスタマーオンボーディングフォーム – スキャン申込書から氏名・連絡先・希望内容を抽出しCRM等へ投入

Text Magicによると、モバイルアプリではオンボーディング不良で初回3日間に平均75%、1か月で90%のユーザーが離脱します。情報処理時の抜けやミスが顧客離脱につながるため、OCRを活用する際も精度や自動化が重要です。

Verizealによると、OCRだけに頼った物流・出荷ドキュメント処理では最大10%のエラーが起き得ます。

こうしたエラーは、伝票・請求書上の不完全または誤ったデータをOCRのみで正確に抽出・検証できないことが背景です。

これらの課題を克服するには、

  • 文脈を理解したフィールド抽出(例:「$2,500」は「支払総額」等と自動認識)
  • 多様なレイアウトへの柔軟適応(AIで異なるフォーマットに自動対応)
  • 外部ツール連携(Zapier/Excel/Google Sheets/Power Automate等)

が求められます。

Parseurは、AI OCR、高度なドキュメント解析、シームレスな外部連携を一体化して提供しており、専門知識なく本格的な自動化が始められます。

インテリジェント・ドキュメント処理(IDP)とは?

インテリジェント・ドキュメント処理(IDP)は、従来のOCR・ドキュメント処理をさらに進化させ、機械学習や自然言語処理などの先端AI技術を統合した最新の自動化アプローチです。

IDPは人工知能を活用し、テキストの単純抽出を超えて「内容や文脈」を理解します。テンプレート設定不要で、契約書・請求書・申込書など多種多様なドキュメントにも柔軟対応。過去の修正履歴などから学習し精度をさらに高めます。

実際には、保険・金融・医療など大量の文書を扱い精度が厳しく求められる業界で、IDPが導入されエラーや手作業が大幅に削減されています。

Scoop Marketによると、IDPは最大99.9%の精度を実現可能で、エラーや手動対応が大きく減ります。

インテリジェント・ドキュメント処理の詳細ガイドもご覧ください。

OCRはツール、ドキュメント処理はシステム

OCRは画像やスキャン文書からテキスト化するための基本技術ですが、あくまで自動化全体のごく一部に過ぎません。

業務効率化や手入力削減、ワークフロー自動化を目指すなら、ドキュメント処理やインテリジェント・ドキュメント処理(IDP)が不可欠です。
これらは「テキスト抽出」だけでなく文脈理解・検証・自動分類、そして情報の自動振り分けまで一貫して行います。

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よくあるご質問

OCRやドキュメント処理についてご質問がありますか?このQ&Aを読めば、自社のドキュメント自動化に最適なソリューション選びに役立ちます。

ドキュメント処理はOCRなしでも使用できますか?

はい。すでにテキスト情報を含むPDFやWordファイルなどのデジタル文書を扱う場合、ドキュメント処理は多くの場合OCRを省略して直接データを読み込めます。ただし、スキャン画像や写真などにはOCRが必要です。

OCRとインテリジェント・ドキュメント処理(IDP)の違いは?

OCRは文脈を理解せずに生のテキストのみを抽出します。IDPは、機械学習や自然言語処理などAI技術を活用し、情報の解釈・分類・検証・データ精度の向上まで自動的に実施します。

請求書処理ではOCRソフトとドキュメント処理、どちらが適していますか?

スキャンした請求書を単純にテキスト化したい場合はOCRだけでも可能です。ただし、請求書番号・合計・日付の自動抽出やシステム連携など、より高度な自動化まで実現したい場合はドキュメント処理ツールの活用が必要です。

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