非構造化データとは?
非構造化データとは、事前に定義されたモデルや形式を持たない情報のことです。非構造化データは通常エンドユーザーによって生成され、検索や分析が容易になるように整理されたりタグ付けされたりしていません。言い換えると、非構造化データは自然な形のデータであり、主に人間によって生成されます。
データは現代のあらゆる組織にとって貴重な資源であり、インターネットの普及に伴いデータ管理ビジネスも急速に拡大しています。データには多様な形式が存在し、これらを適切に活用・管理できる組織は大きなメリットを得ることができます。
データの分類方法は数千通りありますが、ここでは特によく使われる3種類――非構造化データ、半構造化データ、構造化データ――の違いにフォーカスします。
ビッグデータとは?
企業に日々流入する、構造化されたデータと非構造化データを合わせた膨大なデータ量をビッグデータと呼びます。
2020年の世界ビッグデータ分析市場規模は2,069億5千万ドルであり、2028年には5,497億3千万ドルまで成長する見込みです。
データ種類の違いを理解することがなぜ重要か
現代のデジタル経済で成長・生き残るためには、企業は全てのデータを活用して競争力を維持する必要があります。人やプロセス、接続されたデバイスなどによって、毎日膨大な量の構造化・非構造化・半構造化データが作成されています。この情報へ迅速にアクセス・分析できれば、企業に競争上の優位性をもたらします。
非構造化データは組織内データの約80%を占めます。 - Merrill Lynch
非構造化データの例
主な非構造化データには以下があります:
- 書籍
- 手書きメール
- チャットメッセージ
- ソーシャルメディア
- テキストメッセージ
- 履歴書
- 医療記録
- アナログデータ
非構造化データの処理
非構造化データはその自由形式ゆえに取り扱いが難しいですが、整理や分析を支援する各種ツールが存在します。
- データマイニング: データを分解し、特定の識別子を抽出してより洗練されたデータセットを作成します
- 自然言語処理(NLP): NLPはAI(人工知能)を活用し、非構造化データを処理します。医療業界では医療データの80%(診療、バイタル、医療記録など)の分析に応用されています
- 光学式文字認識(OCR): OCRはスキャンあるいは手書き文書を読み取り、認識したテキストを抽出します
- テキスト解析: 感情分析や意図分類などのツールで、パターンを抽出しデータを分類
半構造化データとは?
半構造化データ、または自己記述型データとは、構造化と非構造化の中間に存在します。構造化データ同様ある程度のデータモデルを持ちますが、リレーショナルデータベースほど厳格ではありません。タグやマーカーで意味要素の区切りや階層・関連性が付与されています。
半構造化データには大きく2つのタイプがあります:
- マシン生成文書: 機械が人間向けに作成したファイル(例:PDF請求書)。見た目は構造化されていますが、データは直接取得できません。
- NoSQLデータベース内のデータ: 必要なデータがすぐ取得できるものの、構造は柔軟でドキュメントごとに異なる場合があります。
半構造化データの例
半構造化データは次のような種類のファイルに見られます:
- 自動生成メール
- PDF請求書
- ECサイトの注文確認書
- システム通知

半構造化データの分析方法
半構造化データの管理は難しい場合もありますが、適切なツールを使えば十分対応可能です。
- パターンマッチング: 特定パターンに合うデータ(IPアドレス、数値、日付、電話番号、名前、URL等)を抽出
- ゾーンOCRとダイナミックOCR: ドキュメントの画像内の特定領域からテキストを抽出
- ドキュメントパース: PDFパーサーやメールパーサーを用い、テンプレートやルールによりデータを抽出
ちょっと休憩:Parseurをご存知ですか?
Parseurは、PDFやメール、スプレッドシートなどの半構造化ドキュメントからデータを抽出できる強力なドキュメント処理ソフトウェアです。
テンプレートベースのエンジンはコーディング知識不要で、数分で使い始めることができます。抽出したいデータをParseurに教えるだけで、そのドキュメントタイプごとに自動で処理してくれるようになります。
主なParseurの機能:
- 画像ベース文書にも対応する強力なOCRエンジン(ゾーンOCRとダイナミックOCR搭載)
- テーブル情報の自動抽出
- レイアウト自動検出
- 高度な後処理機能
- Make, Zapier, Power Automateなど数千のアプリと連携
構造化データとは?
構造化データは、機械にとって容易に読み取り・理解できるように組織化されたデータです。明確な構造で、固定スキーマに従い特定のデータモデルで管理されています。
構造化データの例
構造化データには次のようなフォーマットがあります:
- リレーショナルデータベース
- JSON
- XML
- CSV

構造化データの分析
明確な構造を持つため、データ分析も容易です。業界ごとにさまざまな分析ツールがありますが、主なものは以下の通りです:
- PostgreSQLやMySQLなどのリレーショナルデータベース
- JSON、CSV、XML読み取り用の標準パーサライブラリ
- Tableauのようなデータ可視化ツール
- Microsoft ExcelやGoogleスプレッドシートのような表集計ソフト
- Microsoft Power BIなどのビジネスインテリジェンスプラットフォーム
- RapidMinerなどのデータ分析ソフトウェア
まとめ:非構造化データ、半構造化データ、構造化データの違い
3種類のデータの主な違いを以下の表にまとめます:
| 非構造化データ | 半構造化データ | 構造化データ | |
|---|---|---|---|
| 主なコンテキスト | 人が人向けに作成するデータ | 機械が人間消費用に生成/人が機械消費用に生成するデータ | 機械が機械消費用に生成するデータ |
| 構造 | 完全な自由形式 | ある程度の構造があるが変動も。もしくはデータが直ちに機械利用不可 | 事前定義された固定構造 |
| 柔軟性 | 非常に柔軟 | 柔軟性は低く、生成ルールに準拠する必要がある | 柔軟性なし |
| 用途例 | 書籍、研究論文、ドキュメント、手書きメール、チャットメッセージ | 機械生成文書、メールやPDF、NoSQLデータベース、HTML | リレーショナルSQLデータベース、構造化JSON、XML、CSV |
| 解析アプローチ | データマイニング、OCR、自然言語処理 | パターンマッチング、テンプレートマッチング、ゾーンOCR、ダイナミックOCR | SQL、JSON、XML、CSV用の標準パースライブラリ |
コスト効率よくデータを管理・分析するには
ほとんどの組織でデータ収集量は毎年30%増という高いペースで増加しています。多くの組織が非構造化データを大量に保存するものの、実際にはすべてを分析できていません。そのためストレージコストが膨らむ原因になります。
さまざまなデータ型やフォーマット、その最適な活用方法を理解すれば、会社の業務工数を大幅に削減できます。適切なプロセスとテクノロジーツールを導入すれば、どんな組織でも自社データをより効果的に分析できるでしょう。この深いデータ分析は競争力獲得や顧客維持に役立ちます。
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